フクロウ

 梟。鳥綱フクロウ目フクロウ科。全長14〜70センチ、体のわりに頭部が大きく、ほかの鳥と違って目が顔の前面についているのが特徴です。多くの種では、目を中心として顔に顔盤とよばれるくぼみが発達しています。仲間にアオバズク・コノハズクがいます。残念ながらコノハズクの声は浅間高原では聞くことができません。声が泣きやまない時は、近くにいる可能性があります。

 フクロウ類の大部分は夜行性または薄暮性です。聴覚および視覚は非常によく発達しており、完全な暗闇の中でも採食することができます。フクロウ類の外観を特徴づけている顔盤は、集音器として、その下にある耳に音を集めるのに役だっています。耳は大きさ、位置ともに左右不相称で、左右の耳に入ってくる音のわずかなずれを利用して、音源の位置を正確に知ることができます。羽毛は非常に柔らかく、また風切羽の前縁がぎざぎざに切れ込んでいるため、飛んでいるとき羽音をほとんどたてません。

 フクロウ類は南極を除くほぼ全世界に分布し、生息環境も森林から砂漠、あるいはツンドラにまでわたっています。種のフクロウは、ヨーロッパからアジアの中部、北部にかけて分布し、よく茂った森林にすみます。全長50〜60センチ、全体に灰褐色の羽色をしており、「ゴロスケ、ホーホー」と鳴きます。日本でも一年中みられる留鳥です。

 古代中国では、母親を食う不孝な鳥とされ、冬至にとらえて磔にし、夏至にはあつものにして、その類を絶やそうとしたといいます。『五雑俎』にも、福建などでは、フクロウは人間の魂をとる使者といわれ、その夜鳴きは死の前兆とされたとあります。

 わが国江戸時代の『本朝食鑑』には、人家に近くいる時は凶であり、悪禽とされ、あるいは父母を食い、人間の爪を食うと記します。

 西洋でも、フクロウは不吉な前兆を表す鳥とされ、古代ローマの皇帝アウグストゥスの死は、その鳴き声で予言されていました。ユダヤの律法を記す『タルムード』は、フクロウの夢が不吉であることに触れていますし、『旧約聖書』の「レビ記」はけがれた鳥に数えています。

 しかし、古代ギリシアでは、アテネを守護する女神アテネの鳥として信仰され、現代でもアテネの神格を受け、知恵と技芸の象徴に用いられます。フクロウを集落の守護者とする信仰もあります。北アメリカのペノブスコット・インディアンは、縞のあるフクロウは危険を予知し、警告するとし、パウニー族は夜の守護者といい、チッペワ族は剥製のフクロウを集落の見張り役としました。

 北海道のアイヌ民族は、シマフクロウを飼育し、儀礼的に殺して神の国に送り返す、シマフクロウ送りの行事を行います。

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